伝統文化は「守る」もの? 〜沖縄三線の文化継承に向けた価値再発見プロジェクト〜
沖縄県三線製作事業協同組合
プロジェクトの概要
沖縄の伝統文化のひとつ「三線」。時代に合わせて進化し続ける文化であるためには何ができるのか。TaMaRiBaに集う企業のテクノロジーを駆使して音源をデジタイズするなど、伝統文化保存の枠組みを超えた活動に取り組みます。Progress
活動状況
- プロジェクト進行中
- 2023-03-21三線の収録@YAMAHA Studio
- 2022-12-09みんなで沖縄視察へ
- 2022-10プロジェクト始動
Broadcast
関連する番組放送
About Project
プロジェクトについて
日本の多くの伝統文化は、その担い手不足や市場の縮小などにより存続が危ぶまれています。そうしたなかで、国や自治体からの補助金でなんとか維持されている伝統文化も多いのではないでしょうか。 沖縄三線もその一つです。 三線の市場を単に拡大したり、担い手不足の問題を解消すれば良いということではなく、沖縄に根付く三線文化をいかに現代に必要とされる文化に変えていくのか? それにより「守られる文化」から「人々が求める文化」にどう転換していくのか? このプロジェクトは、日本の伝統文化の継承を考えるにあたり、その本質的な問題に迫り、根本的な解決を目指す取り組みです。
沖縄で三線は広く愛され、各家庭への普及率も自動車と同じくらい高い県民文化です。三線自体の市場は縮小傾向にはなく、海外のファンも増えています。では一体何が問題なんでしょうか?
実は、現在三線の市場のおよそ70%以上はベトナムで作られています。沖縄のお土産物屋で売っている三線も、その多くは海外産です。また、そもそも沖縄を通さず、海外産のものを海外の方が直接購入されるケースも広がっています。結果として三線の所有者や演奏者は広がっているものの、そこに源流である「沖縄」が薄れていっているのです。安価な海外産三線に市場シェアを取られ、国内における三線の作り手は高齢化し減少の一途。古典や民謡などの弾き手も減ってきており、沖縄が育ててきた三線の文化は薄れ始めています。加えて原材料である黒木の不足などもあり、沖縄不在の三線の拡大をいかに防ぎ、発祥の地との存在意義を守れるのかが、このプロジェクトのチャレンジになります。
沖縄の伝統文化の取材を続けているうちに、「文化を守る」という発想からの脱却が必要だということに気づきました。なぜなら、文化はその時々の時代で変化して生きてきたからこそ、今まで残ってきているものなのです。常に最先端をとり入れていた文化は、良くも悪くも「伝統」を定義した時点で「守る」ものになってしまい、いわば、その進化をとめてしまったのです。
三線組合のリーダーである仲嶺さんも、「補助金はあくまで補助。補助輪なしで走れるようにならないといけない」という考えを番組でお話しくださいました。私たちがすべきことは、現代に必要とされない文化を補助金で守ることではなく、必要とされる文化に革新していくことだと考えます。
そこで、原料の代替や販売ルートの見直し、ブランディングや見せ方の工夫などの包括的な見直しにより、沖縄三線文化を「守る」のではなく、必要とされる文化に「昇華させる」お手伝いをさせていただきたいと思っています。そして、それにより、結果的に市場が広がり、沖縄の文化が継承されて形で広がっていく。そういう世界を目指して活動していきます。
そして、こうした取り組みが、三線や沖縄文化のみならず、他の多くの日本の伝統文化の継承の道標になることを願っています。